安心して乗っていただくために
一台一台丁寧に仕事をしたバイクは、性能をしっかりと引き出すことができるだけでなく、
長く良い状態で乗っていただけるものに仕上がります。
バイクの組み立てによって性能は大きく変化します
スポーツバイクなどの自転車は、メーカーから7割ほど組み立てられた状態で店頭に届きます。量販店や大半のプロショップなどでは、とりあえず乗れる形にするだけなら30分程度で組み立てができてしまいます。しかし、それでは自転車の性能を最大限に発揮できないだけでなく、後々のトラブルが増えてしまいます。ディスカバーバイクスでは、お客様に安心して乗っていただけるよう、すべての自転車に対して、一台一台に数倍の時間をかけて丁寧に組立作業を行っています。ここでは、一連の作業の一例をご紹介します。
1.梱包開封、傷などのチェック、フレームの下処理
まずは開封し、傷や不足部品が無いかチェックをしていきます。
問題が無ければ、ここから一度組みつけられた部品を外し、それぞれ調整を加えながら作業を進めて行きます。
あらかじめフレームのシートチューブはリーマーをかけ、シートポストに傷が入らないようにします。
2.ヘッドパーツのグリスアップ
大事なステアリング部分は一度フロントフォークを取り外し、ヘッドベアリングの状態確認とグリアスアップを行います。
メーカー出荷段階ではほぼグリスが塗られておらず、ぱっと見ではわからない部分ですので、普通のお店ではほぼなにもされません。そのままでも使えはしますが雨や汗などで部品がさびてしまいダメになりやすいです。
当店では新車時から保護グリスを塗り込むことによって、性能が長続きするように処理を行います。
3.ホイール周りのチェック
ハブの回転をチェックし、問題があれば玉当たりの調整を行います。
新品のハブはなじみが出てくるので、それを見越しつつ最適な状態に調整します。
グリスが少ないケースも多く、通勤通学など雨天を含むハードな使用が想定される場合は、性能、耐久性良いグリスにリパックも行います。
その後、タイヤ類は一度取り外し、ホイールのセンター、縦横振れのバランス調整を行います。
調整しながらスポーク、ニップルの馴染み出しも行い、後々振れが出にくいようにします。
4.ハンドル周り、シートポストなど位置の調整
シートポストやハンドルなどのポジションを調整していきます。
特にハンドル周りは工場出荷段階ではかなり適当な位置になっています。
ハンドルそのものの角度は当たり前、ブレーキなどレバーの左右位置、角度も乗りやすいように調整を行います。
自転車と乗り手をつなぐ部分ですので、ちょっとした調整でずいぶん乗りやすさが変わってきます。
各部のボルトは、トルクレンチも併用しながら、間違いないように組みつけていきます。
5.ボトムブラケットの増し締め、グリスアップ
後々トラブルが多い場所のひとつがボトムブラケットです。
クロスバイクのBBなどは、締め付けが緩い場合がほとんどで、後々の音鳴りの原因となります。
増し締めと、必要に応じてフェイシングを行います。
種類によっても違いますが、グリスアップが可能なものは、すべてグリスアップを行い、部品の耐久性を高めます。
外からわかりにくい部分なので無視されがちですが、極力長持ちする自転車を組み立てるうえで必須作業の一つと当店は認識しております。
6.ブレーキ周りのホース調整、ブリーディング
重要な部品のひとつ、ブレーキまわりの調整を行います。
機械式の場合、ケーブル類は一旦取り外し、最適な長さに切りそろえてからグリスアップを行い、再度組み付けしていきます。
見た目を良くするだけでなく、ちょうどいい長さにそろえることと、端面を処理することで、ブレーキの引きも軽くなります。
主流になってきた油圧ブレーキにおいても、オイルラインのカットを行います。接続器具の不具合も地味にあるため、チェックもかねて行います。
仮にオイルラインを切らない場合でも、オイルのエア抜き(ブリーディング)は必ず行います。
いまだかつて、出荷段階で適切なエア抜きがされていたものは見たことがないです。
しっかりとエア抜きを行った後は、自転車を逆さにしてもエアを噛むことはありません。
安全性、耐久性に大きくかかわる部分ですので欠かさず作業を行います。
7.変速まわりの調整
変速ケーブルも工場出荷段階では無駄に長いものがほとんどです。一旦ケーブルを抜き、長さを丁度いいところにそろえたのち、滑りの改善と防錆を兼ねてグリスアップを行いながら再度ケーブルを通します。ケーブル周りがだらしないだけで、せっかくの自転車の見た目だけでなく性能にも悪影響を及ぼしますので看過できません。
また、ケーブル取り付け後は普通に調整を行うだけでなく、ケーブルの初期伸びを極力出し切るように処置も行います。少なからず出てしまう部分もありますが、後述の工程も含めて、なるべく初期の馴染みを減らすように工夫をしています。
8.試乗、1日置いての馴染みだし後再チェック
組み立て後、実際に外で試乗をします。ちゃんと組めているかの確認はもちろんのこと、車体にある程度の負荷をかけることで、強制的になじみ出しを行います。
その後1日寝かせてさらになじみ出しを行い、翌日以降に各部の最終チェックを行い、組み立てが完了します。調整を行っていると、段階ごとに変化しているのがわかります。こういったなじみ出しをせずにただ組み立てるだけだと、納車後すぐにヘッドのガタが出る、変速の調子が悪くなるなど害がありますが、初回点検で再調整すればいいと言ってしまえばそれまでかもしれません。当店でももちろん初回点検は推奨しておりますが、なるべく変化が最小限になるよう努力しています。おかげで、初回点検は簡単なチェックで終わってしまいます。
ここまでの工程を行うと、クロスバイクの組み立てでも1台当たり2~3時間程度は余裕でかかります。手間はかかりますが、トラブルの軽減、耐久性の向上、乗り味の向上など、長く愛用してもらうためには必須だと当店では考えております。